前の記事では「幸福感のアドバンテージ」と「マインド(捉え方)を変えると現実が変わる」についてお伝えしました。
後編では、さらに「再起力の秘密」、「コントロール感覚」、「人間関係への投資」について書いていきます。
一見、幸福とは関係ないように見えますが、それぞれ人間が幸福感を感じるために重要な要素ですので、ぜひ読んでみてください。
再起力に秘められた秘密
ストレスに打ち勝つことのできる人の特徴として、再起力がある、というのがあります。
経済的不況に陥ったり、病気になったり、親しい人との死別など、困難な状況に陥った時、その状況に打ちのめされずに、バネとして成長するのです。
つまり、世界にボコボコにされても立ち上がる力。
それが再起力。
再起力のある人は、困難な状況に陥った時に何をしているのでしょうか?
第三の道を見つけている
逆境に陥った時、人には3つの道があるといいます。
第一の道:同じ状況をグルグルまわる道(停滞)
第二の道:より悪くなる道(悪化)
人はストレスを感じた時に行動や視野を狭めてしまうことは前編で説明しました。
ストレスに負けそうになると、第一、第二の道しか見えず、より状況を悪くしてしまうことがあります。
第三の道は見えづらいのです。
ですが再起力のある人は、第三の道を見つけます。
第三の道:不運にも関わらず上に向かう成長の道
再起力のある人は、
「自分の運命を決めるのは逆境そのものではなく、逆境に対して何をするかである」
ということを知っています。
見えづらくなっている第三の道を見つけようとすることが再起力へとつながり、それは幸福・成功へとつながるのです。
まずは、第三の道を見つけようとするところから始めてみましょう。
説明スタイルが違う
困難な状況に出会っても、常に気力を取り戻して立ち上がる人たちに共通する特徴として、「楽天的な説明スタイル」というものがあります。
困難な状況の説明の仕方がポジティブなのです。
楽観的な説明スタイルの人は、困難な状況を「限定的で一時なもの」と捉える一方で、悲観的な説明スタイルの人は「大々的で永続的なもの」と捉えます。
このように起きた出来事の本質をどのように説明するかは、幸福度や将来の成功に決定的な影響を与えることが実証されています。
「心的外傷後の成長に影響するのは、その出来事がどういうものかではない。むしろその出来事の主観的経験である」
注意! 無力感は学習されてしまう。
以前、こんな記事を書きました。
『『無気力の心理学』で私が退職を繰り返す原因を掘り下げる』
失敗を内部起因にすることなどによって、無気力は学習されてしまう、という内容です。
無力感を獲得しないよう、気をつけましょう。
コントロール感覚を取り戻す
アメリカの3000人近くの労働者を対象にした調査で、「仕事におけるコントロール感覚が高いほど、家族、職場、人間関係などすべての面での満足感が大きい」という結果があります。
コントロール感覚が高い方が、幸福度が高いのです。
コントロールの円を小さくする
例えば、散らかり切った部屋があった時、いきなり部屋全体を綺麗に片付けようとすると、なかなかスムーズに片付けを進められず、コントロール感覚を失ってしまいます。
そうではなく、まずは机の一角のある部分のみ綺麗に片付け、そこを綺麗なままキープすることから始めるのです。
そうすると、コントロール感覚を取り戻し、徐々に片付けの範囲を広げていくことができます。
同様のことは仕事上でもあるかと思います。
大きなプロジェクトの先行きを考えて不安になってしまっている時など。
プロジェクト全体をいきなりコントロールしよとするのは難しいですが、自分の担当タスクを終わらせることはできます。
手に負えないストレスに対処するには、それを一度バラバラにして、自分ではどうにもならないことを切り離してしまうことです。
そして、自分が有効に影響を及ぼすことのできる部分を見極めます。
そうすると、そこにエネルギーを集中することができ、コントロール感覚を取り戻すことができるのです。
自分の行動が結果に直接影響するということ、つまり自分は自らの運命の大半を支配する主人なのだということを再学習できると、「内部統制感」が高まるのです。
人間関係に投資する
最も長期にわたる心理学研究に「ハーバードメン研究」というものがあります。
これは、1930年代後半にハーバード大学に入学した268人の男子学生を現在に至るまで追跡調査している研究です。
研究者たちは膨大なデータをもとに、最も豊かで幸せな生活をしている人と、一番成功しなかった人との違いをもたらす生活環境と個人的性格を特定することに成功しました。
重要なポイントを一言で言うと「愛」だそうです。
なんじゃそりゃ、と突っ込んでしまいそうですが、本当なのです。
豊かで幸せな生活をしている人とそうでない人との違いは、人間関係だったのです。
人間関係の絆がストレスを和らげてくれる
長期的に見て、よい人間関係を多く持つ社員は、仕事のストレスがもたらす悪影響を受けにくいそうです。
人とのつながりは、コルチゾールというストレスホルモンのレベルを下げ、仕事のストレスから早く立ち直らせてくれるのです。
逆境で人間関係を遠ざけてしまう失敗
困難になればなるほど、周囲の人間を遠ざけて一人の殻に閉じこもってしまった経験はないでしょうか?
これ、ヤバイです。
失敗への道です。
逆境を切り抜ける人というのは、困難な状況であれば、周囲を切り離すのではなく、反対に結びつきをさらに強くします。
周囲の人間関係が、幸福優位性を得るための最大の投資であることを理解しているからです。
困難な状況であればあるほど、周囲の人間の力(リソース)が必要なのです。
以上、幸福度を増すための方法を前編・後編にわたり書いてきましたが、いかがでしたでしょうか?
前編で書いた幸福感を高める方法ーお楽しみをつくるーなどはすぐにできますので、よかったら生活に取り入れてみてください。
ある研究では、医者に診察前に飴を渡すだけで、診察の精度が増したそうです。
飴ひとつで人間の幸福度は増し、能力が高まるのでしたら、いろいろなところに取り入れてみるとすごいことになりそうですよね。